生贄教室
だけどその願いは通じなかった。
化け物は好きなだけ暴れまわったかと思うと、土埃の中を清へ向けて歩きだしていたのだ。
視界が悪い中ではそれが見えなくて、ただ音が消えただけに思えた。
清は音が止まったことでふと顔をあげた。
相変わらず涙は流れ続けていたけれど、音が止まったことで何かが変化したと感じて立ち上がった。
だけどグランドは霞んでいてよく見えない。
時刻はもうすぐ8時で、空はとっくに暗くなっている。
そんな中で状況を掴むのは難しかった。
ただ静かになったグラウンドに、もしかしたら自分の願いが届いたのではないかと期待して……その瞬間、土埃の中にゆらりと動く影が見えた。
影はすでに校舎の目の前まで移動してきている。
最初よりも大きくなったように見えるその化け物の頭部は、今は清のいる3階のベランダと同じくらいの場所にあった。
「あ……」
声が出なかった。
化け物は好きなだけ暴れまわったかと思うと、土埃の中を清へ向けて歩きだしていたのだ。
視界が悪い中ではそれが見えなくて、ただ音が消えただけに思えた。
清は音が止まったことでふと顔をあげた。
相変わらず涙は流れ続けていたけれど、音が止まったことで何かが変化したと感じて立ち上がった。
だけどグランドは霞んでいてよく見えない。
時刻はもうすぐ8時で、空はとっくに暗くなっている。
そんな中で状況を掴むのは難しかった。
ただ静かになったグラウンドに、もしかしたら自分の願いが届いたのではないかと期待して……その瞬間、土埃の中にゆらりと動く影が見えた。
影はすでに校舎の目の前まで移動してきている。
最初よりも大きくなったように見えるその化け物の頭部は、今は清のいる3階のベランダと同じくらいの場所にあった。
「あ……」
声が出なかった。