生贄教室
☆☆☆

清は元々おとなしい少年だった。
子供のころから読書が好きで、1人の時間を大切にしていたからだった。
友達と遊ぶのも好きだったけれど、本を読むことで別世界に旅立てる気がして、楽しかった。

「なぁ、お前って本の虫だよなぁ」
休憩時間に本を読んでいてそう言われたのは小学校5年生のころだった。
相手はクラス内の乱暴者だ。

いつも誰か弱そうな相手を見つけてはイジメている。
女子が相手だろうが関係なくてイジメているから、みんなからの嫌われ者だった。
「そうだね」

清はそのときごく普通の返事をしたつもりだった。
でも相手はそれで逆上してしまった。
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