生贄教室
「他人のデートなんでどうでもいいよ。邪魔するのも悪いし」
軽くいなして教科書を読み始めた恵子に妙子はつまらなさそうに唇を尖らせる。
「恵子ってほんとつまんないよね」

理沙がこそこそと仁と妙子に耳打ちする。
3人は今度は他の生徒には聞こえないように恵子の陰口を叩き始めて、小さく笑い声を上げる。
美麗はそれを呆れた様子で見つめた。

この3人は1人ずつならそんなに害はないのだけれど、一度全員が集まれば一気に悪口に花を咲かせたがる。
きっと、このクラス内で3人の陰口に餌食になっていない生徒は1人もいないだろう。
それでも恵子は我関せずと言った様子で勉強を勧めている。

その姿を見て見れは思わずかっこいいなぁと感じてしまう。
自分もあまりあの3人のことは気にしないようにしているけれど、どうしても目に余る時がある。
そういう時は昂輝と共に止めに入るのだ。

そうしないと、あの3人はいつまでもエスカレートしてしまうから。
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