生贄教室
それが、トイレに行って戻ってくる間に机からなくなってしまったのだ。
誰の仕業かはすぐにわかった。
「僕の本を返せ」

清はすぐに詰め寄った。
「はぁ? なんのことだよ」
相手はニヤニヤした笑みを浮かべてしらを切る。か

「返せって言ってるだろ!?」
大切な本だ。
僕を別世界に旅させてくれる本。
まだ続きを読めていないし、シリーズ物だから1巻でも抜ければ続きがわからなくなる。

「返せ」
清は自分よりも体格がよくて背の高い相手を睨みあげた。
相手は一瞬ひるんだ顔を見せたけれど、すぐに怒った表情になって両手で清の体を押した。

清はよろめいて数歩後退する。
「なんだよお前、生意気なんだよ」
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