生贄教室
「それなら僕に直接文句を言えばいいだろ。本は関係ない」
今までだってラクガキとか、教科書を隠されたりとかしてきた。
だけど本だけはダメだった。

自分の人生に大きな影響を与えてくれたもので、将来は自分も小説を書いてみたいと思うようになっていた。
そんな、大切なものなのだから。

「うるせぇ! 知らねぇって言ってるだろ!」
相手が拳を握りしめて、教室にいた女子生徒たちが悲鳴を上げた。
この拳が振り下ろされる。

だけど清に痛みは降り掛かってこなかった。
「うっ」
小さくうめき声を上げてうずくまったのはイジメっ子の方だったのだ。
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