生贄教室
そんな教室内でしばらく自主勉強を続けていると、教卓に座っていた先生が立ち上がった。
テストの採点が終わったのだ。
「今からテスト返却するぞー。間違えたところは家に帰って各自でちゃんと勉強してくるように!」

教室の中に重たいため息が漏れる。
今回のテストは難しかったから、みんな家に帰ってからの勉強を考えて億劫になっているんだろう。
美麗もその1人だった。

本当に今回のテストは難しかった。
昂輝と一緒に勉強し直す必要がある。
図書館へ行ったり、互いの家を行き来して勉強していたも、甘い雰囲気になることはなかった。

「それじゃ、返すぞ」
先生が名前を読んでテスト返却を開始しようとした、その時だった。
どこからかヘリコプターの音が聞こえてきて何の気なしに教室の窓へと視線を送った。
< 9 / 222 >

この作品をシェア

pagetop