生贄教室
妙子は心の中でその展開を期待した。
「ちょっと待って」

だけどそれを止めたのは恵子だった。
恵子は相変わらずのすまし顔で、ジッとみんなのことを観察するように見ていた。
そしてここぞというときに邪魔をしてくるのだ。
だから恵子のことは大嫌いだった。

「利秋は清の秘密を知ってるんだよね? それを言わない代わりに清が生贄になった。今ここでそれを暴露させるつもり?」
やっぱり、それを言われると思っていた。

妙子は歯ぎしりしたい気持ちを抑え込んで、笑顔を浮かべた。
「清はもう死んだの。その清の秘密がなんだったのか、それは本当にイジメに発展するようなものだったのか、知っておいてもいいと思わない?」

できるだけ冷静に、焦りを表に出さないように話す。
それでも恵子は納得していない様子で腕組をした。
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