生贄教室
最初から、秘密をバラすつもりはなかったんだ。
そう思うと納得できた。

「利秋って本当に最低。元々クラスから浮いてる存在だったもんね。それで理由なく人をイジメるとか、ただの弱い者イジメじゃん」
理沙が呆れたように呟く。
その人を見下したような声色に利秋の表情が引きつった。

元々人からバカにされるのを嫌う性格をしている。
ここまで言われたら黙ってはいられないだろう。
「あいつは……あいつは花子ちゃんを奴隷みたいに扱ってたんだ!」

ついに話した。
妙子の目が輝く。
「花子ちゃんって誰だよ?」

聞いたのは仁だ。
花子は初めて聞く名前だった。
「あいつの妹だよ。俺の妹と同い年で、高学年になってからクラスが同じになったみたいで、友達になったんだ」
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