生贄教室
「へぇ? 妹の友達が清の妹? そんな偶然もあるんだねぇ」
清に妹がいるというのは初耳だった。

いつもおとなしくてあまり会話したことがない相手だから、死んでから知ることの方が多そうだ。
「で、その花子ちゃんが奴隷?」
理沙が話を促す。

「あぁ。あいつ、花子ちゃんが小学校低学年の頃から、カッターナイフで脅してお小遣いを巻き上げたり、家の手伝いを押し付けたりしてたんだ。このままじゃもっともっとひどい目にあうかもしれないって、家に遊びに来たとき花子ちゃん泣いてて、それで……」

それで清をイジメた。
なんの理由にもなっていないイジメの理由に妙子は笑ってしまいそうになった。
花子ちゃんをイジメている清をイジメれば、花子ちゃんが助かるとでも思ったんだろうか。

家庭内で起こっていることを部外者が察知して止めることは難しい。
清をイジメても、その矛先が再び花子ちゃんへ向かうとは考えなかったんだろうか。
浅はかな利秋の思考には呆れてしまう。
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