生贄教室
☆☆☆

利秋は諦めたように椅子に座り込んでいた。
清を半ば強引に生贄に差し出したことをキッカケにして次は自分がやり玉に上げられる番になってしまった。

利秋がきよしにやらせてきたことを上げ始めればキリがない。
万引、カンニング、自転車泥棒。
そのどれもが利秋がやらせてきたもので、どこからか情報が漏れてクラスのみんなが知っていることだった。

清のことだから、密かに自分で噂を流していた可能性もある。
「これだけのことしといて、清を生贄にするなんて最低だよね」
妙子がまるでゴミでも見るような視線をこちらへ向ける。

さっきから化け物がまた暴れ始めていて、体育館を再び壊し始めていた。
その音が嫌というほど耳に響く。
時計の針はあと10分で9時になるところにある。
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