生贄教室
「利秋がいいと思う」
そう言ったのは妙子でも理沙でも仁でもなかった。
驚いて顔をあげると、郁が真剣な表情で利秋を指差していた。
「え……」
「だって、今までのことを聞いてたらとてもまたクラスメートとしてはやっていけないよ」
郁の声は震えているけれど、でもしっかりと利秋を避難していた。
今まで同じクラスで何事もなくやってきたことの方が不思議だという雰囲気だ。
「申し訳ないけど、俺も次の生贄は利秋に言って欲しい」
郁が自分の意見を告げたことで、彼氏である雄太も同意する。
ふたりはいつでも肩を寄せ合っていたから、当然の結果だった。
「で、でも俺は……」
なにか弁解しようと思ったけれど、言葉が続かなかった。
みんなの視線が。
残っている8人の視線が痛いほどに突き刺さる。
脳裏に蘇ってくるのは花子ちゃんの泣き顔だった。
清にイジメられて泣いている花子ちゃんを、妹の部屋のドアの隙間から見ていた。
そのときに自分の中に特別な感情が芽生えるのを感じたんだ。
そう言ったのは妙子でも理沙でも仁でもなかった。
驚いて顔をあげると、郁が真剣な表情で利秋を指差していた。
「え……」
「だって、今までのことを聞いてたらとてもまたクラスメートとしてはやっていけないよ」
郁の声は震えているけれど、でもしっかりと利秋を避難していた。
今まで同じクラスで何事もなくやってきたことの方が不思議だという雰囲気だ。
「申し訳ないけど、俺も次の生贄は利秋に言って欲しい」
郁が自分の意見を告げたことで、彼氏である雄太も同意する。
ふたりはいつでも肩を寄せ合っていたから、当然の結果だった。
「で、でも俺は……」
なにか弁解しようと思ったけれど、言葉が続かなかった。
みんなの視線が。
残っている8人の視線が痛いほどに突き刺さる。
脳裏に蘇ってくるのは花子ちゃんの泣き顔だった。
清にイジメられて泣いている花子ちゃんを、妹の部屋のドアの隙間から見ていた。
そのときに自分の中に特別な感情が芽生えるのを感じたんだ。