悪女の汚名返上いたします!~悪役聖女として追放されたのに、私を嫌っていたはずの騎士がなぜか甘々に…⁉~
「ベアトリス、まだ状況が分かっていないようだな。これはただのネックレスではない。身近な者の神聖力を奪い、自分の物にする。違法な闇魔道具──『呪具』だ」
 
「じゅ……ぐ? お母様の形見が? なにかの間違いでしょう?」
 
 隣を見れば、父も「そんな、馬鹿な」と唖然としている。
 
「呪具の所持および使用は重罪だ。バレリー伯爵は、呪具購入の罪で爵位剥奪。財産および領地はすべて没収とする。牢へ連れて行け」
 
「殿下、お待ちを! そのネックレスは断じて呪具ではございません! それは我が妻の形見、娘に呪いの道具を贈る親がどこにおりましょうか!」

「鑑定の結果、これは紛れもなく呪具だと確定している。醜い言い逃れはやめよ、バレリー卿」

「そんな、あり得ない……! 話を聞いてください、殿下!!」

 父が騎士に取り押さえられ連行されていく。
 
「お父様! お父様!!」

 必死に手を伸ばすが、騎士に無理やり取り押さえつけられ、ベアトリスも拘束されてしまった。

(なにが起きているのか分からない。まるで悪夢を見ているみたい……)

 悪い夢なら、早く覚めて……と願いながら涙を流すベアトリスを、フェルナンは冷ややかに睥睨(へいげい)した。
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