悪女の汚名返上いたします!~悪役聖女として追放されたのに、私を嫌っていたはずの騎士がなぜか甘々に…⁉~
 ユーリスとふたりっきりになった瞬間「やった~!」と言って飛び跳ねて喜ぶ。

「私、人とこんなに楽しく話せたの初めて! すっごく楽しかったぁ~」

「それは良かった」

「全部、ユーリスのアドバイスのおかげだわ! 貴方って、本当にいい人ね! 大好き!!」

 湧き上がる喜びのまま感謝を告げて、ベアトリスはさっそく借りた本を読み始めた。
 
 
 ✻  ✻  ✻

 
 一方、突然『大好き!!』と言われたユーリスは不意打ちを食らい、その場で立ち尽くしていた。
 
 驚きのあまり心臓がうるさいほど高鳴っている。
 
 告白めいた言葉と可憐な笑顔を思い出すたび、じわりと頬が熱くなるのを抑えきれない。
 
 常に冷静さを失わないよう己を律して生きてきたのに、ベアトリスの一言でいとも簡単に心を揺さぶられてしまう……。
 
(なんだ、この気持ち。まさか、俺は…………)

 心の内にいつの間にか芽吹き、知らぬ間に花を咲かせていた感情にひどく戸惑う。

 
 そんなユーリスの内心など知るよしもないベアトリスは、自分が無意識に告白をしたことにも気付かず、鼻歌を歌いながら小説の中のロマンスを堪能するのだった。


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