悪女の汚名返上いたします!~悪役聖女として追放されたのに、私を嫌っていたはずの騎士がなぜか甘々に…⁉~
 それでも、目の前に悩める後輩がいるのなら、悔いが残らないように今できる事を精一杯やろう。
 
 そう決意したベアトリスは、今日も迷える見習いをひとりでも救うべく、講習会の壇上にあがるのだった。

「今日は、魔道具を作る練習をいたしましょう。これは魔水晶と呼ばれる、神聖力を込めやすい鉱物です。これに守護の聖魔法をかけると……」

 ベアトリスが透明な水晶に手をかざして詠唱すると、まばゆいばかりの光を放ちながら虹色に輝き始めた。

「このように魔水晶が結界の魔道具に変化しました……。これを作って魔物から街を守るのも聖女の役目です。さぁ、みなさんもやってみましょう……!」

 熱心に魔道具作成の修行にいそしむ見習たちを、微笑ましく見守る。

「セレーナ様、できました!」
「わたしもできました!!」

 無邪気に慕ってくれる見習いたちが可愛らしくて、ベアトリスは「よくできました」と微笑み返した。
 
 神殿の制度改革と後進の育成に邁進する日々は、忙しくも充実している。
 
 毎日が夢のように幸せだけれど……。
 
(私の努力とみんなからの信頼は、全部セレーナのものになるのよね)
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