悪女の汚名返上いたします!~悪役聖女として追放されたのに、私を嫌っていたはずの騎士がなぜか甘々に…⁉~
 現在、病床の国王陛下には、年の近いふたりの王子(むすこ)がいる。

 ひとりは正妃との間に産まれた王太子フェルナン。
 
 もうひとりは、陛下が視察先で恋に落ちた貴族令嬢との御子(おこ)であるアラン第二王子。

 これから会うヘインズ公爵は第二王子派閥の長で、フェルナンとはバチバチの敵対関係にある。
 
 フェルナンを王太子の座から引きずり下ろすべく、あらゆる手を使ってくるだろう。

「でも、アラン様に王位を継ぐ意志はないのでしょう? 私の記憶では、王位継承権を放棄して、お母上と一緒に辺鄙(へんぴ)な田舎町で暮らしているとか」

「本人にその意思がなくとも、周囲が放っておかないのだ。アランは俺より優秀だからな」

「ふぅん」

「『ふぅん』って……随分と他人事だな。アランがどの点で俺より優れているのか、気にならないのか?」

「ええ、まったく」

 だって、もう私には関係ないことだもの、とベアトリスは心の中で付け加えた。

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