悪女の汚名返上いたします!~悪役聖女として追放されたのに、私を嫌っていたはずの騎士がなぜか甘々に…⁉~
 今回、隣にいたのがベアトリスで本当に助かった。
 
 セレーナであれば一言も話せず、ふたり揃ってヘインズ卿に馬鹿にされていただろう。

「先程からあの方がこちらを見ていますわ。きっと、殿下とお話したいのではないかしら?」

「おお、本当だ。よく気付いたな」

「鉱山で何ヶ月も囚人と対等に渡り合って暮らしていましたから、人間観察が得意になったようです。さぁ、参りますよ」

 そう言ってフェルナンの腕に手を添えるベアトリスの存在が、とても頼もしかった。

(セレーナとは、大違いだな)

 教育係にほんの少し注意されただけで部屋に閉じこもり、母上に叱られたら泣き崩れて熱を出す。淑女教育は進まず、公務はほとんど欠席のセレーナ。

 その点、ベアトリスはどんな困難にも一緒に立ち向かってくれる。戦友(とも)を得たかのような心強さだ。
 
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