悪女の汚名返上いたします!~悪役聖女として追放されたのに、私を嫌っていたはずの騎士がなぜか甘々に…⁉~
(ベアトリスと共にいるのも、悪くないな)

 その後も宴はつつがなく進み、明日からの会談に備えて早々にお開きとなった。

 ベアトリスの優れた補佐のお陰で、初日の挨拶回りを完璧に終えられたフェルナンは、ほろ酔い気分も相まって有頂天になっていた。

(まだ飲み足りないな。そうだ、(ねぎら)いもかねてベアトリスの所へ行こう)

 思いつきのまま護衛も連れずベアトリスの部屋を訪ねると、なぜかユーリスが室内から姿を現わした。

「なぜ、お前がここにいる?」

「至急ベアトリス様のお耳に入れたい事がございまして、参上いたしました」

「至急? どんな要件であれ、夜更けに俺の婚約者の部屋に入るなど言語道断。慎め、無礼者めが!」

 フェルナンが唾を飛ばして怒鳴ると、ユーリスがすっと目を細め低い声で呟いた。

【──今は、アンタの婚約者じゃねぇだろ、このペテン師が】
 
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