悪女の汚名返上いたします!~悪役聖女として追放されたのに、私を嫌っていたはずの騎士がなぜか甘々に…⁉~
 ユーリスの囁きが聞き取れなかったフェルナンは、思わず眉をひそめた。
 
 発音からして共和国語だろう。意味は分からないが、なんとなく悪口を言われたような気がする。

「お前、今なにを言った!?」

「お見受けしたところ殿下は酔っておられるご様子。もう遅いですし、お休みになられた方がよろしいかと。それでは、これにて」

 こちらの質問には一切答えず、ユーリスが淡々と部屋のドアを閉めようとするが、フェルナンはとっさに扉の隙間につま先を入れて阻んだ。

「イテテテッ!! 痛い! 開けろ、そこを退け! 俺はベアトリスに用があるんだ!」

 立ちはだかって譲らないユーリスにイライラしていると、部屋の奥から「お通しして」というベアトリスの声が聞こえてきた。

「どけ!」
 
< 152 / 231 >

この作品をシェア

pagetop