悪女の汚名返上いたします!~悪役聖女として追放されたのに、私を嫌っていたはずの騎士がなぜか甘々に…⁉~
 翌日、ベアトリスは部屋に引きこもってしまい、フェルナンは焦った。

 議会後の宴にひとりで出席すれば、敵対派閥の貴族から陰口を叩かれ、王太子としての威厳が失墜するのは火を見るより明らかだ。
 
 なんとしてでもベアトリスを部屋から引きずり出さねば……と、夜会のことばかり気にしていたフェルナンだったが、真に心配すべきは議会の方であった。
 
 バレリー卿の件が議題に上り、貴族会議は今まさに荒れに荒れている。
 
「護送中の罪人が失踪したとの報道は本当ですか? であれば、これは由々しき事態ですぞ!」

 貴族の糾弾に、ヘインズ公爵は淡々と説明した。
 
「ええ、残念ながら報道は全て事実。我が領でこのような事になり、誠に遺憾に思っております。わたくしは大々的な捜査をと進言しましたが、王室の方々が『国民の混乱を招かぬよう、事実を伏せよ』とおっしゃいまして……」

「では、王室が事実の隠蔽をしたと? フェルナン殿下、そうなのですか!?」
 
< 154 / 231 >

この作品をシェア

pagetop