悪女の汚名返上いたします!~悪役聖女として追放されたのに、私を嫌っていたはずの騎士がなぜか甘々に…⁉~
「うふふふ…………アッハハハハハハッ!」
 
 突如として響き渡るセレーナの耳障りな笑い声。
 
 驚いて視線を向ければ、彼女は目を三日月型に細め、口角をニヤッと吊り上げて不気味に(わら)った。

「ざぁんねんでしたぁ! 貴女は一生わたしを虐げる悪女! 恩赦? 新しい人生? やるわけないじゃん! さぁ、やって!!」
 
 合図の直後、ポールが葡萄酒のボトルを掴んでセレーナめがけて振り下ろす。

 ガシャン──!!という激しい衝撃音とほぼ同時に、彼女が甲高い悲鳴を上げて床に倒れ込んだ。

 
「きゃあああああっ!!」

 
 一連の流れはあまりにも速く、迷いのない暴挙にベアトリスはただ立ち尽くすしかない。

 ()められたのだと気付いた時にはすでに遅く。慌てて部屋に飛び込んできたフェルナンによって、ベアトリスは二度目の追放を言い渡されてしまった。
 
 
 ──そして馬車は今まさに、大監獄への道をひた走っている。

 
「なにが健気でか弱い乙女よ。真の悪女は貴女じゃない!」

 
 悪態を吐いたのとほぼ同時に馬車が急停止し、ベアトリスは荷台の中を転がった。
 
(いたたた……今度はいったい何事!?)
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