悪女の汚名返上いたします!~悪役聖女として追放されたのに、私を嫌っていたはずの騎士がなぜか甘々に…⁉~
(よくも、お父様を……!)

 怒りで目の前が真っ赤に染まる。
 同時に、抵抗も復讐もできない無力な自分が悔しくて、勝手に涙がこぼれ落ちた。
 
 男たちはベアトリスの泣き顔を眺めながら、愉悦の表情で更に語り続ける。
 
「ポールさんが崇拝してる……あのぉ、セレーナ? って聖女も、容赦ない女だよなぁ」
 
「まったくだぜ! ポールさんを上手く利用して王子サマの婚約者にまで上り詰めるんだからなぁ! 『わたしぃ、純真無垢ですぅ~』って顔してやり手だぜ」

「女ってのはなぁ、清純派気取ってる奴の方がヤベェんだよ!」

「げっ! 女っておっかねぇわ!!」

 ガハハハッ──!と男たちが豪快に爆笑する。

 しかし、次の瞬間には全員ピタリと笑みを引っ込め、剣を抜いて真顔でこちらを振り返った。
 
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