悪女の汚名返上いたします!~悪役聖女として追放されたのに、私を嫌っていたはずの騎士がなぜか甘々に…⁉~
 急に身体が浮いたベアトリスは「きゃあっ」と小さな悲鳴を上げて、彼の首に両手を回して抱きつく。
 
「びっ、びっくりした……」
 
「すまない、腰が抜けて立てないようだったから。それに、ひとりでは馬に乗れないだろう?」

「乗れないけど……抱き上げるなら、そうする前に言ってくれなきゃ……」
 
「言ったよ。『じゃあ、行こう』って」
 
「だから、それじゃ分からないわよっ」

 いつも通り高飛車に言うと、なぜかユーリスがふんわり優しく微笑んだ。

 ベアトリスは小首を傾げながら「なに?」と問いかける。

「また追放されて、そのうえ命まで狙われ絶望しているかと心配したが、予想より元気そうで安心した。君は、とても強い女性だな」

 極上の美形に至近距離で微笑と賞賛を向けられ、じわじわっと頬が熱くなるのを自覚する。

 きっと今、すごく赤面しているに違いない。暗闇で良かった……と思いながら、ベアトリスは慌ててうつむき「心配してくれて、ありがとう」と消え入りそうな声で告げた。
 
 ユーリスは優しい声色で「どういたしまして」と返事をすると、ベアトリスを横乗りで馬の背に座らせ、自身も飛び乗って走り出す。

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