悪女の汚名返上いたします!~悪役聖女として追放されたのに、私を嫌っていたはずの騎士がなぜか甘々に…⁉~
(だっ、だって、今までフェルナンともこんなに密着したことないのよ! 恥ずかしくなるのは当然だわ!)
 
 なぜか自分自身に言い訳しながら、ベアトリスは照れくささを隠すためユーリスの胸元に顔を埋める。

 
 ──そんな初心でいじらしい姿を見て、ユーリスが愛おしそうにほほ笑んだことに、当の本人は全く気付いていなかった。


 しばらくして気持ちが少し落ち着いたベアトリスは、今後のことをユーリスに尋ねた。

「これからご実家のブレア伯爵領へ行くのよね?」
 
「ああ。馬で行くには遠いから、近くの港に船を用意してある」
 
「私を匿うことで、貴方とブレア伯爵家にきっとご迷惑をかけてしまうわ……ごめんなさい」
 
 しゅんとうなだれるベアトリスを励ますかのように、ユーリスの手が頭の上にそっと乗せられた。

「君はセレーナに危害を加えていない。そうだよな?」

「ええ、もちろん」
 
「だったらなにも心配はいらない。大丈夫、俺が守るから」

「……ありがとう、ユーリス」
 
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