悪女の汚名返上いたします!~悪役聖女として追放されたのに、私を嫌っていたはずの騎士がなぜか甘々に…⁉~
 みんなが『ベアトリス・バレリーは悪女だ』と決めつける中、無条件に信用し守ってくれる。頼もしいユーリスの存在に心から励まされる。

 それと同時に、不思議に思った。
 
(一度目の追放の時は、私のことを信じてくれなかったのに。今回は、どうして助けてくれるの?)

「ベアトリス、着いたよ。ここからは船で行く」
 
 問いかける暇もなく、ベアトリスはユーリスに先導されて船に乗り込みブレア領を目指した。


  ☩  ☩  ☩ 

 
 一方、同時刻──。
 
 フェルナンと共に夜会へ出席したセレーナは、別室で騎士から報告を受けていた。

「たった今、ベアトリス・バレリーを乗せた馬車が襲撃されたとの情報が入りました」

「なんだと!?」

「あぁ……なんてこと……」

 セレーナは両手で口元を覆い、さも今知ったかのような演技をする。
 その(かたわ)らでは、フェルナンが険しい顔で「それで?」と騎士に続きを促した。

「同行していた騎士はみな無事ですが、罪人ベアトリス・バレリーは消息不明。護送騎士によると、襲撃犯は暗殺傭兵団だったとのことです。また、現場には血痕と破れたドレスの切れ端が残されていたことから、ベアトリス・バレリーは誘拐されたものと思われます」

「あぁ……ベアトリス……」
 
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