悪女の汚名返上いたします!~悪役聖女として追放されたのに、私を嫌っていたはずの騎士がなぜか甘々に…⁉~
 顔を覆って泣き崩れるセレーナの肩を、フェルナンが慰めるようにさする。
 そして、同席していたヘインズ公爵に鋭い視線を向けた。
 
「前回のバレリー元伯爵の失踪といい、今回といい、二度も囚人の護送に失敗するとは、一体どうなっているんだ!? 公爵、責任は取って貰うからな」

「……このような結果になり、面目次第もございません」
 
「殿下、わたし気分がすぐれないので……先に部屋へ戻っても良いでしょうか……?」

「ああ、分かった。そうせよ」

 深々と頭を下げるヘインズ公爵と、怒鳴り散らすフェルナンを横目で見ながら、セレーナは弱ったふりをしてポールと共に自室へ戻った。
 
 部屋の扉をパタンと閉めた途端、それまでの物憂げな表情から一転、口元を押さえて込み上げる笑いを必死に堪える。
 
「ふっ、ふふっ……アハハハハッ! せっかく一度は追放で済ませてあげたのに、いい気になって出しゃばるからもっと酷い目に遭うのよ! 可哀想なベアトリス。今頃、汚い男たちの相手をして無残に殺されているのかしら! なんて良い気味!」

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