悪女の汚名返上いたします!~悪役聖女として追放されたのに、私を嫌っていたはずの騎士がなぜか甘々に…⁉~
 この変態男、もといポールと出会ったのは、セレーナがまだベアトリスの侍女兼聖女見習いをしていた頃だった──。


 本来の性格と真逆のか弱い女を演じるのは鬱憤(うっぷん)がたまる。

 だからセレーナはその日、ストレスを発散すべく、誰も寄りつかない神殿の旧館に行き、人気がいないのを確認してから盛大に愚痴をぶちまけた。
 
『あぁ、疲れた。ほんっとベアトリスの奴、ムカつく! いつか覚えておけよ、地獄に突き落としてやる!』

 本性をさらけ出し罵詈雑言を喚き散らした直後、茂みがガサガサッと音を立てて揺れた。

『だれ!?』

 咄嗟にそう叫ぶと、植え込みから男が顔を出した。
 
 ──その人物こそ、騎士ポールだったのだ。
 
 焦るセレーナをよそに、ポールはニコニコ、いやニタニタと気持ち悪い笑みを浮かべてこう言った。
 
『セレーナ様の隠された本性を知ってるのは僕だけ……嬉しいなぁ、幸せだなぁ……』
 

 そう、こいつはセレーナのストーカーだったのだ。
 

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