悪女の汚名返上いたします!~悪役聖女として追放されたのに、私を嫌っていたはずの騎士がなぜか甘々に…⁉~
『やだなぁ、セレーナ様。僕はストーカーじゃありませんよ! 密かにいつも見守っているだけです!』

『いやだから、それをストーカーって言うのよ』

『ああっ、儚げな容姿に似合わぬぞんざいな口調! 気弱な貴女も好きだけど、素の貴女も素敵だ……』

 なんでもポールはセレーナに一目惚れしたらしく、今までずっとストーキング行為をしていたらしい。
 
『憧れのセレーナ様と会話できるだけでなく、ふたりだけの秘密の共有まで……あぁっ、夢のようです! このポール、お(した)いする貴女様に永遠の忠誠を誓います』
 
『忠誠ねぇ……』
 
 セレーナは他人を愛したことがない。大切なのは常に自分自身だけ、他者に心を砕く余裕なんてない。
 
 だから正直、この男の言う『一目惚れ』や『慕う』という感情は分からず、簡単に信用もできなかった。
 
 だが話を聞く内に、どうやらポールは本気でセレーナに無償の愛と忠誠を捧げるつもりらしい。

 どうせ本性がバレてしまったのだ。手駒として利用するだけ利用して捨ててやろう。
 
 
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