悪女の汚名返上いたします!~悪役聖女として追放されたのに、私を嫌っていたはずの騎士がなぜか甘々に…⁉~
その男は先ほどから、薬品の入った戸棚を横目でチラチラ見つつ、その周辺を無駄にうろついている。
そういえば以前、怪我の治療にやってきた元スリの罪人が、自慢げにこう語っていたのを思い出した。
──『窃盗犯はな、こういう独特な視線の動かし方をして、周囲を警戒しながら獲物に狙いを定めるんだ。俺たちの界隈ではこれを【スリ目】って呼んでる』
ベアトリスは不審な男を観察しつつ『ははぁん。あれがスリ目ね』と悟った。
そのまま気付かれないよう見張っていると、ついにスリ目の男が戸棚に手を伸ばし、薬品の瓶を掴んだ。
(あっ、盗った──!)
ベアトリスは急いで椅子から立ち上がり、逃げ去ろうとする男の行く手に立ちはだかる。
「待ちなさい。それ、どこに持って行くつもり?」
「チッ、痛い目にあいたくなければ、そこをどけ!」
舌打ちして無理やり出て行こうとする男の腕を、ベアトリスがガッシリ掴む。
男は必死に振り払おうとするが、身体強化の聖魔法をかけたベアトリスの力は強く、逃れることはできない。
そういえば以前、怪我の治療にやってきた元スリの罪人が、自慢げにこう語っていたのを思い出した。
──『窃盗犯はな、こういう独特な視線の動かし方をして、周囲を警戒しながら獲物に狙いを定めるんだ。俺たちの界隈ではこれを【スリ目】って呼んでる』
ベアトリスは不審な男を観察しつつ『ははぁん。あれがスリ目ね』と悟った。
そのまま気付かれないよう見張っていると、ついにスリ目の男が戸棚に手を伸ばし、薬品の瓶を掴んだ。
(あっ、盗った──!)
ベアトリスは急いで椅子から立ち上がり、逃げ去ろうとする男の行く手に立ちはだかる。
「待ちなさい。それ、どこに持って行くつもり?」
「チッ、痛い目にあいたくなければ、そこをどけ!」
舌打ちして無理やり出て行こうとする男の腕を、ベアトリスがガッシリ掴む。
男は必死に振り払おうとするが、身体強化の聖魔法をかけたベアトリスの力は強く、逃れることはできない。