悪女の汚名返上いたします!~悪役聖女として追放されたのに、私を嫌っていたはずの騎士がなぜか甘々に…⁉~
 刑期満了を待っていても、看守の気まぐれな妨害で不当に延長されるかもしれない。

(一刻も早く王都へ戻って復讐を遂げる。どうせ破滅するなら、私を裏切った人間全員まとめて地獄に引きずり込んでやるわ)

 人相の悪い集団に囲まれても怯えることなく、堂々と「私を仲間に入れて頂戴!」と言い放った少女に、屈強な囚人たちも困惑が隠せない様子。

「おいおい、やべぇ聖女サマが仲間になっちまった……」
 
「まったくだぜ。あの女、噂によると、王子に婚約破棄されて、ここにぶち込まれたんだってよ」
 
「ヒェッ! 王族に追放を言い渡されるなんて……あのツラ構えからして、ただ者じゃねぇよ。きっとヤバい極悪人なんだよ……オレ、こわい……」

 デカい図体の男どもが、身を寄せ合ってプルプル震えている。

 私って、そんなに極悪人に見えるのかしら?と若干ショックを受けつつ、ベアトリスは腰に手を当て、不甲斐ない男どもを一喝した。

「そこ! 聞こえているわよ、無駄話はおやめなさい!! この計画、やるからには、絶対成功させるわよ!」
 
「はっ、はいぃいい!!」

「分かりやした、姉御!」

(……んん?……姉御……?)

 作戦会議を繰り返すごとに、ベアトリスは囚人たちと絆を深め、「姉御」などと呼ばれて慕われるようになってしまった。

(恋愛小説のヒロインに憧れているのに、どんどん悪の親玉みたいになっていくのは、なぜ……?)
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