悪女の汚名返上いたします!~悪役聖女として追放されたのに、私を嫌っていたはずの騎士がなぜか甘々に…⁉~
昔はこの程度の傷なら手をかざすだけで治せたのに、今では意識を集中させて全力を注がなければいけない。最近は怪我人を治療するたび、聖魔力の衰えを痛感している。
『呪具を用いてセレーナの神聖力を奪っていた』とフェルナンに言われた時、ベアトリスは信じなかった。
(間違いなく私は、自分の力で上級聖女まで上り詰めた。絶対にセレーナの力じゃない)
そう思いたいのに、現に今のベアトリスの力は神殿にいた頃の半分以下。
(これが本来の実力なの……? 本当に私は、セレーナの力を奪って能力を底上げしていた……?)
追放と断罪、刑期延長に加え、自身の実力と才能に疑念を抱いたベアトリスは、すっかり打ちのめされ自信喪失していた。
「……ふぅ、……終わったわよ」
たった一度、治癒の聖魔法を使っただけなのに、力がごっそりと削がれ目眩がする。
「こりゃあ、すごい! 綺麗さっぱり治っておる。てぇしたもんじゃ、ありがとうなぁ」
ボサボサの白髪とひげの老人は、嬉しそうにベアトリスに笑いかけてきた。
「大したことじゃないわ」
「こんなにあっという間に治しちまうなんて、医者でも無理じゃよ。アンタは本当にすごい聖女様だ! ありがとう」
老人の純粋な感謝の言葉が、絶望してボロボロに傷ついた心にしみる。
思わず泣きそうになり、ベアトリスは顔を背けた。その時、再びクラッと目眩がして、ベッドに片手をつく。
『呪具を用いてセレーナの神聖力を奪っていた』とフェルナンに言われた時、ベアトリスは信じなかった。
(間違いなく私は、自分の力で上級聖女まで上り詰めた。絶対にセレーナの力じゃない)
そう思いたいのに、現に今のベアトリスの力は神殿にいた頃の半分以下。
(これが本来の実力なの……? 本当に私は、セレーナの力を奪って能力を底上げしていた……?)
追放と断罪、刑期延長に加え、自身の実力と才能に疑念を抱いたベアトリスは、すっかり打ちのめされ自信喪失していた。
「……ふぅ、……終わったわよ」
たった一度、治癒の聖魔法を使っただけなのに、力がごっそりと削がれ目眩がする。
「こりゃあ、すごい! 綺麗さっぱり治っておる。てぇしたもんじゃ、ありがとうなぁ」
ボサボサの白髪とひげの老人は、嬉しそうにベアトリスに笑いかけてきた。
「大したことじゃないわ」
「こんなにあっという間に治しちまうなんて、医者でも無理じゃよ。アンタは本当にすごい聖女様だ! ありがとう」
老人の純粋な感謝の言葉が、絶望してボロボロに傷ついた心にしみる。
思わず泣きそうになり、ベアトリスは顔を背けた。その時、再びクラッと目眩がして、ベッドに片手をつく。