エリート外交官はワケあり妻を執愛で満たし尽くす
こじらせた結果

 北斗がそのつもりなら、私なりに『利用される妻』として頑張ってみようと思った。

 そうすればいつかは彼に許されて、この気持ちを伝えられるかもしれない。

 そういう理由から、私は語学の勉強を始めることにした。

「先生、よろしくお願いします」

 自宅からふた駅離れた教室では、様々な語学が希望するランクごとに学べる。

 私が選んだのは日常会話を難なくこなせるようになるのが目的のAクラスだ。

「はい、よろしくお願いします。末廣さんはいつも早めに来てくれるからありがたいです」

 にこやかに言ったのは私のイタリア語の物見百合(ものみゆり)先生だ。

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