エリート外交官はワケあり妻を執愛で満たし尽くす
 先生というからもっと年上をイメージしていたのだけれど、まだ三十一歳だという。

 それもあって、マンツーマンでも緊張せず楽しく授業を進められた。

 百合先生は量の多い黒髪をひとつに結んだ、笑顔の絶えない明るい女性で、雑談ベースで楽しみながら語学を教えてくれる。

「じゃあ、今日も仲良くなるところから始めましょっか」

 促されて先生の前に置かれた椅子に座ると、彼女はすぐ話し始めた。

「そういえば自己紹介はしたけど、どうしてイタリア語を学びたいのかまだ聞いてなかったですね。ぜひ聞かせてください」

「ええと……日本語で答えても大丈夫ですか?」

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