エリート外交官はワケあり妻を執愛で満たし尽くす
「できれば今日までに学んだ言葉を駆使してくれるとうれしいです。でも、難しかったら無理しないでくださいね」

「頑張ります」

 楽なほうへ逃げていたら、北斗の役に立てない。

 つっかえつっかえしながらも、なんとか日本語を使わず先生に話してみる。

『夫がイタリアに関係する職に就いているんです。だから、私もパートナーとして彼とイタリア語での日常会話ができるといいなと思いました』

 時間をかけて伝えると、先生がぱちぱちと拍手してくれる。

『愛ね!』

 短い感想に少し笑ってしまった。

 愛というなら、確かにそうだ。

 どちらかというと下心のほうが近い気はするけれど。

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