エリート外交官はワケあり妻を執愛で満たし尽くす
 このまま沈黙が続くのだけは避けたいと、なにを言うかも決まっていないのに口を開いてから、不意に百合先生たちの言っていた仲直りの方法が思い浮かんだ。

 もうこれしかないと、持っていたお皿とフォークをテーブルに置き、北斗に顔を寄せる。

「なんだ?」

「う、動かないでね」

 チョコ味のキスをすれば仲直りできる――。

 ロッコさんの言葉を実践するため、北斗の肩に手を添えると、驚いた顔がぐっと近づいた。

 仲直りしたい。謝りたい。あの時、ひどいことを言って本当にごめんなさい。

 そんな気持ちを込めて、北斗の唇に自分のそれを重ねる。

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