エリート外交官はワケあり妻を執愛で満たし尽くす
「今日、先生のお宅にお邪魔して。あ、先生っていうのはイタリア語の先生なんだけど、その旦那さんがご馳走を作ってくれて……」

「ゆっくり、順番に説明してくれ」

 張り詰めた空気に居心地の悪さを覚えるも、逃げるわけにはいかない。

「……あ、あのね」

 順番にと言われたし、つい先生の話を出してしまったからもう隠し事をする意味がないだろう。

「この間からイタリア語の教室に通って、ます」

「なぜ?」

「あなたの専門がイタリアだから、妻として役に立てたほうがいいかなと……」

 浅ましい下心を明かすのは恥ずかしさを通り越して、つらかった。

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