エリート外交官はワケあり妻を執愛で満たし尽くす
 自分から嫌われるように仕向けたくせに、許されたくて媚びるなんて情けない。

「変に隠す必要はなかっただろう。言えばよかったのに」

「……うん、そうだね」

 顔を見られずうつむいていたせいで、北斗がどんな表情なのか見えなかった。

「それで?」

「その……先生と仲良くなったんだけどね。今日、ホームパーティーに誘ってもらったんだ。パティシエの旦那さんがたくさんご馳走を用意してくれて、すごかった」

 重たい空気を変えたくて、今は必要ない余計な情報を付け加えてしまう。

「じゃあ……君を車で送ったのは、その旦那さんとやらか?」

「うん。お土産をくれたのもそうだよ」

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