エリート外交官はワケあり妻を執愛で満たし尽くす
「君も相変わらず真面目だ。言われた通り、素直に実践するあたりが」

 さっきは押しのけられたのに、今度は逆に引き寄せられる。

 北斗の手のひらが私の頬を包み、うつむけないように顔を固定してしまった。

 なぜだかうれしそうな目で見つめられ、隠し事を明かす時よりも落ち着かなくなる。

「別に仲違いしているつもりはなかったが、そう感じていたわけだな」

「ち、違うの、もうちょっとうまくやれたらって――」

 もっと話さなければならないことがあるのに、唇を塞がれて内容が飛ぶ。

「君の先生たちに言っておいてくれないか。そのやり方はうちで通用しなかったと」

「え……」

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