エリート外交官はワケあり妻を執愛で満たし尽くす
 そこには不安も怒りもなく、ただ私を安心させようとする気持ちが感じられる。

「傷つけたのに、いいの?」

「その分、優しくしてもらう。一日一回のキスを二回にしようか」

「それだけ?」

「もっとねだっていいなら、いくらでも」

「やっぱりだめ。一日二回のキスね。起きた時と、寝る時」

 遠慮なく要求される気配を感じて言うと、北斗は不満そうに眉根を寄せた。

 また少し笑ってしまい、頬をつつかれる。

「ちゃんと相談しなくてごめんなさい」

「ああ」

「ひどいことを言ってごめんなさい」

「……ああ」

「ずっと疑っててごめんなさい。あなたはずっと私を好きでいてくれていたのに……」

< 221 / 245 >

この作品をシェア

pagetop