エリート外交官はワケあり妻を執愛で満たし尽くす
「足りないなら、結婚生活において夫に逆らわないとでも誓ってもらおうか。君は俺のどんな要求にも応えなければならなくなる」

「なにを要求するつもりなの……?」

 少し怖くなって尋ねると、ずっとドアにもたれていた北斗が近づいてきた。

 そして私の隣に座る。

「夫として当然の権利を」

 囁いた北斗の顔が近づき、唇が重なる。

 今度は以前エレベーターの中でされたように長いキスではなかった。

 だけど、触れるだけのキスでさえ私には充分すぎる威力を発揮する。

「キスくらいなら……」

 心臓がうるさくて、自分の声がとても小さくなったように思えた。

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