エリート外交官はワケあり妻を執愛で満たし尽くす
 父は俺の判断に否を唱えないようだが、母はやはり思うところがあるらしい。

『だって急に取りやめたでしょう。またああなったら……』

「ならない。……させない」

 両親には『価値観の不一致』が判明し、結婚はまだ早いと思ったから別れたという理由で婚約破棄の件を伝えている。

 つい先ほど、純美の両親と話した時、彼女も同じ理由を話していたと知って少し笑ってしまった。

『それにしてもどうして急に……』

「まあ、いろいろとあったんだ」

 純美は、馬鹿だ。本当にどうしようもなく。

「向こうのご両親とも話してきた。申し訳なさそうだったな」

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