エリート外交官はワケあり妻を執愛で満たし尽くす
 聞いたところによると、彼女の父が友人の連帯保証人になったのが原因だという。事業に失敗し、今もなお返済しなければならない借金を背負っているとか。

 その話を聞いた時、別れを告げる彼女の様子がおかしかった理由をようやく理解した。

「純美もいろいろあったみたいだ。だから責めないでやってくれ」

『お前がそれで構わないなら、父さんたちも言うことはない』

 その割に母はなにか言いたげだが、こちらからあれこれ話す必要はないだろう。

『でも、まだ結婚していなかったのね。てっきり純美さんのことだから、もういいお相手を見つけたのかと……』

「純美にとって、俺以上の相手はいないよ」

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