エリート外交官はワケあり妻を執愛で満たし尽くす
 どんな理由があろうと一方的に婚約を破棄したのだから、と首を縦に振らず逃げ続けるだろう。

 だが、それでは困るのだ。

 さっさと俺の妻になって、残りの人生を幸せに暮らしてもらわなければ。

 だったらどうすればいいのかと考えた時、彼女の真面目すぎる性格を逆に利用するのはどうかと思いついた。

「……とはいえ、結婚式をするまではしばらくかかりそうだ」

 電話の向こう側に告げ、信号が青になったのを確認して足を進める。

 彼女の罪悪感を煽り、罰を与える名目で結婚に持ち込んだ結果、思った通り純美は従ってくれた。

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