エリート外交官はワケあり妻を執愛で満たし尽くす
幸せな地獄
行動力がありすぎる北斗は、私から婚姻届のサインをもらってすぐ役所に提出した。
晴れて末廣純美になると、今度は引っ越しだ。
実家暮らしだったのもあってそれほど時間も手間もかからず、彼の復讐を受け入れると決めたあの日から十日も経たないうちに、新しい住居にやってくる。
かつて付き合っていた頃と違い、彼は三十階建てのタワーマンションに住んでいた。
毎日、二十八階の自宅に帰ってくるのは大変だろうと思ったのは内緒だ。
「荷物が少なすぎる」
実家から運ばれたダンボール箱の数を見て、北斗が顔をしかめた。
「下着くらいしか入っていないんじゃないのか」