エリート外交官はワケあり妻を執愛で満たし尽くす
「そういうの、夫婦の間でもセクハラにあたるんだからね」

 言い返しておくものの、北斗が――内容はともかく――そう言いたくなる気持ちもわかる。

 私が実家から持ってきたものは、着替えと仕事に必要なものだけ。

 使用したダンボール箱は全部でふたつだ。

「仕事中は制服だし、そんなに着替えが必要ないの。私物も全部実家に置いてきたから、これくらいしか持ってくるものがなかっただけ」

 ダンボールは床が大理石の広い玄関に置かれていた。

 それを持ち上げようとすると、なにやら不満顔の北斗に取り上げられる。

「俺が運ぶ。君の部屋はこっちだ」

「そのくらい自分で運べるのに……」

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