エリート外交官はワケあり妻を執愛で満たし尽くす
最悪の再会
ホテルのスタッフたちがあちこちを余裕のない表情で駆け回っている。
普段はコンシェルジュデスクの中で仕事をすることが多い私も例外ではなかった。
「稲里さん、最後に化粧整えてきたほうがいいよ。私もさっき行かせてもらったから」
同じ時期に入社したフロアスタッフに声をかけられ、うなずいてから持っていた来客リストを手渡す。
「じゃあお言葉に甘えて。これ、最終確認お願いしても平気?」
本来ならばフロント内でいつも通りの仕事をするけれど、今日は違った。
今日はうちのホテルで、日本と友好的な関係にある諸外国との外交レセプションが行われる。