エリート外交官はワケあり妻を執愛で満たし尽くす
 それなのに急遽、対応する予定だったスタッフのひとりがウィルス性の胃腸炎になってしまい、人手が足りなくなってしまったのだ。

 コンシェルジュデスクからも人員を派遣することが決まり、部署の中で最も語学を得意とする私が選ばれたのである。

「うん、大丈夫。こっちは任せて」

「ありがとう」

 お礼を言ってすぐに従業員専用の化粧室へと向かった。

「声をかけてもらえてよかった……」

 化粧室にて鏡に映る自分を見ながら苦笑する。

 朝から立ち止まる暇もないほど動き回っていたせいか、化粧が崩れてしまっていた。

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