『絶食男子、解禁』
純也に相談したところで何か解決するわけじゃないけれど。
珍しく弱音が吐きたくなったのかもしれない。
「俺今、主任に昇格できそうな所まで来てんだよね。だから、今は仕事に専念してるっつーか。彼女は欲しいなぁとは思うけど、正直、合コンにも行けてない」
「……そっか」
「手軽に後腐れなくっていう関係だったら、三か月前くらいだったか?それ以降は仕事一筋で頑張ってるけど」
三か月……十分だろ。
俺なんて、七年だぞ。
「あっ、まさか、手加減なしで一晩中抱いて、嫌われたとか?」
「……」
お前の脳内、満開ですげーな。
半年も付き合ってる状態だと思われているから、当然なのか?
「鮎川ってさ、無意識に男を煽ってる所あるじゃん」
「……」
「普段大人しめで無口なのに、意外と無邪気な所あるしさ。それであのナイスバディで近寄られたら、ついつい手が出そうになるっつーか」
「純也も狙ってたとか?」
「まぁ、同期だし。意識した時期もあるけど、入社時から鉄壁のガードだったからね、あいつ。高嶺の花ってやつよ」
純也に限らず、社内の男なら一度は夢見るだろう。
社内広報誌で、受付嬢より目を惹く美人だもんな。
そもそも、手練れてるあの男が執着してまでよりを戻したがったほどの女性だ。
俺なんかが満足させられるのか?
いや、そういうんじゃない。
深い傷を負ってる彼女を優しく包んであげれなかったことが最大の問題だ。
両想いになったからといって、すぐに手を出すんじゃなくて。
もっとたっぷりと時間をかけて落とさないとならなかったんだ。