『絶食男子、解禁』
*
「えっ……ちょっと待て。ここがどういう所だか、分かってんのか?」
「分かってるよっ」
会社から離れた駅の改札口で待ち合わせた私と原は、駅に程近いビジネスホテルのフロント前にいる。
和田さんに相談して以来、ずっと考えていた。
私にとって、楢崎はどんな人なのか。
彼との未来を考えた時、切っては切り離せないものだからこそ、ちゃんと結論を出すべきだと思って。
だから、和田さんが言うように、他の人とならどうなるのか、検証すべきだと結論に至った。
見ず知らずの人を口説くのはさすがに無理。
過去の出来事を話せる人物と言ったら、原くらいしか思い当たらなかった。
女性には慣れてるだろうし、原になら話してもいいかな?と思えたからだ。
「お待たせ致しました。お部屋のキーはこちらになります」
カードキーを受け取って振り返ると、唖然としている原と視線が交わる。
「ご飯まだだよね」
「あ、いや、そういうことじゃなくて…」
フロントスタッフに軽く会釈し、原の腕を掴んでエレベーターへと向かった。
「なぁ、頭打ったとかじゃないよな?」
「どこも打ってないよ」
「えーじゃぁなんなの?いきなりホテルとか、ドン引きなんだけど」
「とりあえず、部屋に言ったら話すから」
「……なんだよ、それ」
さすがにラブホテルには行けない。
気心知れた同期とはいえ、羞恥心がないわけじゃない。
やることは同じでも、気持ち的に少しでも罪悪感が薄れたらだなんて虫のいいことを考える。
「ごめんね、急にこんな所に連れて来て」
「えっ……ちょっと待て。ここがどういう所だか、分かってんのか?」
「分かってるよっ」
会社から離れた駅の改札口で待ち合わせた私と原は、駅に程近いビジネスホテルのフロント前にいる。
和田さんに相談して以来、ずっと考えていた。
私にとって、楢崎はどんな人なのか。
彼との未来を考えた時、切っては切り離せないものだからこそ、ちゃんと結論を出すべきだと思って。
だから、和田さんが言うように、他の人とならどうなるのか、検証すべきだと結論に至った。
見ず知らずの人を口説くのはさすがに無理。
過去の出来事を話せる人物と言ったら、原くらいしか思い当たらなかった。
女性には慣れてるだろうし、原になら話してもいいかな?と思えたからだ。
「お待たせ致しました。お部屋のキーはこちらになります」
カードキーを受け取って振り返ると、唖然としている原と視線が交わる。
「ご飯まだだよね」
「あ、いや、そういうことじゃなくて…」
フロントスタッフに軽く会釈し、原の腕を掴んでエレベーターへと向かった。
「なぁ、頭打ったとかじゃないよな?」
「どこも打ってないよ」
「えーじゃぁなんなの?いきなりホテルとか、ドン引きなんだけど」
「とりあえず、部屋に言ったら話すから」
「……なんだよ、それ」
さすがにラブホテルには行けない。
気心知れた同期とはいえ、羞恥心がないわけじゃない。
やることは同じでも、気持ち的に少しでも罪悪感が薄れたらだなんて虫のいいことを考える。
「ごめんね、急にこんな所に連れて来て」