『絶食男子、解禁』

「新婦 瞳さん あなたは毎日笑顔で「おかえり」と迎え、週一でいいので好物を食卓に出し、俺の頭が薄くなってもお腹が出てきても、変わらず愛し続けることを誓いますか?」
「はい、誓います」
「「皆様の前で誓い合ったことを胸に、いつまでも仲の良い夫婦でいられるよう誓います。〇〇年十月十八日 新郎 純也 新婦 瞳」」

二人の誓いの言葉に溢れんばかりの祝福の拍手が送られた。

チャペルだが、神父はいない。
人前式という形で執り行われた挙式。
妊娠六か月の瞳の体調を気遣い、ゆったりとした雰囲気の中、優しい空気に包まれる。


四月の同期会で交際をスタートさせた純也と瞳。
元々息が合っていた二人はとんとん拍子に交際を深め、瞳の妊娠を機に結婚することになった。

そんな瞳の介添え役を頼まれ、つぐみは一番近くで祝福する。

挙式を終え、一同がチャペルの外に出る。

「つぐみ、用意はできてる?」
「もちろん!」

完全オリジナルの結婚式。
『よくある王道のウェディングプランは絶対にやだ!一生に一度なんだから、おもいきり素敵な想い出にしたい』という瞳の願いを叶えるために、同期四人で考えたのだ。

チャペルの入口前に、結婚式場のスタッフに誘導され、参列者の女性陣がずらりと勢揃い。
高校、大学時代の友人たちを始め、地元の友達やWINGの女性社員たちだ。

「みんな~、用意はいい?」
「「いいよ~♪」」
「瞳~っ、こっちの方にもちゃんと投げてね~!」
「OK☆行っっっくよ~!!」

ブーケトスの代わりにコスメトスが行われた。
プチギフトみたいにラッピングされたコスメが、緩やかな弧を描いて宙を舞う。
つぐみはバスケットに用意されているコスメを瞳に渡す係だ。

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