『絶食男子、解禁』

「ペットを飼うなら、犬派?猫派?」
「ここ、ペット不可だよね?」
「靴や靴下履くなら、右から?左から?」
「う~ん、意識したことないから記憶にない」
「“かけ”と言ったら、うどん派?蕎麦派?」
「カジノみたいなギャンブル想像した」
「プッ……返しがツボる」
「え、何で~?」
「どっちか聞いてんのに」
「峻だって、どっちでもとか言ってたじゃん」
「ま、そうなんだけど」

純也たちはこういうので喧嘩になるんだろうが、俺らは幾ら質問しても喧嘩になりそうにない。
むしろ、『そんなこと考えてんだぁ』と新鮮な気持ちになる。
つぐみはやっぱり、俺専用の女性らしい。

「挙式するなら、教会式?神前式?」
「う~ん、瞳たちみたいに人前式ってのもアリだなぁって思ったよ」
「俺も」

今日の結婚式を思い返し、つぐみは嬉しそうに笑みを零す。

「一年以内に挙式、挙げるか?もう少し先にするか?」
「……え」

ゆっくりと視線が向けられ、戸惑うような嬉恥ずかしいような顔をする。

「どっち?」
「……したい」

少し頬を赤らめながら、視線を逸らしたつぐみ。
そんな彼女の薬指にポケットから取り出した指輪を嵌めた。

「これからもヨロシクな」
「……こちらこそ、宜しくお願いします」

指輪に口づけし、手の甲、唇へと。
純也たちに負けないくらい、幸せにすると誓いのキスを―――。

「例の元カノにやっと会える」
「えっ、会いたいの?」
「そりゃあ、会いたいよ。こんなイイ男を踏み台にしたんだから、どんな女なのか、顔拝んでやらないと」
「プッ……そう来たか」
「安心してね!絶対マウント取らせないから」
「期待しとく」


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